私はダンサー、そしてこれまでダンスケッチ(ダンス+スケッチ/ 2次元でダンスを表現する)というイラストを手がけてきた。ダンスとは空間と時間を喚起する芸術である。絵は平面において2次元で空間を演出する、そしてある切り取られた瞬間が永遠に画面に封じ込められている。ダンスにおいてあらゆるボディパーツがその動きの起点となりうる。それは肘かもしれないし、足の親指かもしれないし、ひょっとすると胃や肺など内臓から始まる可能性だってある。そして起点から脈々と連なるパーツの組み合わせがダンスとして表出される。そしてその際、意識の中ではボディの大小が千差万別に区別され展開してゆくのだ。平面という2次元からモノという3次元の中間領域を遊ぶ。すなわち、2.1~2.9次元の世界において。グレーいう全色を含む色をベースに、全色を構成するその元となる赤・青・黄の3原色を色層とすることで世界を簡潔に端的に表し、その世界から生まれ出てそれを超越しようとする意識で踊っている。「空間を超えるあるもの」とはそれを作る側と鑑賞する側の意識そのものと言えるだろう。